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 名古屋商科大学は,来年度入学生全員にMacBookを無償譲渡し,さらに希望者にはiPadを特別価格で提供するという。同大学では、以前からMacを導入しているが,iPadでどのような教育を展開しようとしているのか。
 こうした動きが名古屋で多いのはどうしてだろうか?

日本初,全学部を対象とした教育ツールとして「iPad」採用を決定(2010.5.14)
IT化された学生生活(名古屋商科大学)

【天気】晴れ。半袖。夏の陽気。iPadのカバーだけ届く。鳩山首相に続いて,菅新首相は理系出身(東工大理学部卒)。

 宮崎で口蹄疫が猛威を振っている。昨年は新型インフルエンザだったが,今年は口蹄疫。大体この頃の科学技術コミュニケーションの授業ではBSE(狂牛病)を扱うのだが,今年は同じ牛の病気なので学生の関心も高まるだろう。

 さて,口蹄疫は人間には感染しないとよく聞くのだが,専門家はどう言っているか気になったので,まずは食品安全委員会のサイトを見てみた。すると,4/20作成,4/28更新の文書「宮崎県における口蹄疫の発生について」(pdf)が掲載されていた。そこにはこう書いてある。

食品安全委員会としては、口蹄疫は、偶蹄類の家畜(牛、豚、山羊、緬羊、水牛など)や野生動物(ラクダやシカなど)が感染する病気であり、人が感染することはなく、仮に口蹄疫にかかった家畜の肉を食べたり牛乳を飲んだりしても人体に影響はありませんので、国民の皆様には、冷静に対応していただきますようお願いします。

 まず日本語が変だが,それはともかく,「人が感染することはな」いと書かれている。この文書に張ってある農水省のリンク先を見てみると,やはり同じことが書かれている。しかし,こうも書かれている。「現場での取材は、本病のまん延を引き起こすおそれもあることから、厳に慎むよう御協力をお願いします」。これはなぜか? 農水省のもう一つのリンク先を見てみると,こう書かれていた。「人が牛肉や豚肉を食べたり、牛乳を飲んだりしても口蹄疫にかかることはありませんが、感染している家畜の近くに行ったりすると、無意識のうちにウイルスを運んでしまうことがあるので、感染した家畜がいる農場に行くことは避けてください」。無意識のうちにウイルスを運んでしまうとは?

 謎が深まった。そこで,食品安全委員会の文書の最後のリンク先,動物衛生研究所のサイトを見てみた。そこには,山内一也東大名誉教授の「人獣共通感染症連続講座」の口蹄疫関係のページへのリンクがあった。そこで,それらのページを見てみたら,なんと!,口蹄疫は人にも感染することがあると書かれていた。ただ,人間は口蹄疫にはかかりにくく,もしかかっても軽症ですぐ直るので健康上の脅威にはならないということだ。子どもがかかる手足口病に似たものらしい。

 こうした情報から判断すると,先の「無意識のうちにウイルスを運んでしまう」ということの意味として,人間が感染し,人間が感染源となってしまうことも含まれると思われる。ただ,ウイルスは風でも運ばれるということなので(村上氏の総説),たとえ人に感染しなくても衣服や靴などに付いて運ばれるということも十分あるだろう。いずれにせよ,説明のための言葉が足りないと思う。

【天気】晴れ。夏のように暑い。研究室の気温はずっと29℃を超えている。

 名古屋文理大学情報メディア学科では,来年度入学生全員にiPadを無償配布するという(同大学ウェブサイト)。孫氏の電子教科書の構想を実験するようなものだ。これまでも,タブレットPCを授業に活かす実験は多く行われてきたが,それがiPadになってどう変わるかは興味深い。

【天気】晴れ。

 今日の朝刊で,首都圏私立大の自宅外通学1年生(2009年度)の1日当たり生活費(家賃を除く)が1123円だという記事を見つけた。早速情報源となった報告書を探して読んだ。このところ下宿生の生活費は下がる一方だ。ピーク時の1990年には月73800円だった。それが月33700円へと4万円も下がっている。その背景として,親の収入も下がっていて,世帯平均の税込み年収はピーク時の1993年は1072万円だったが,そこから882万円まで200万円下がっている。そして,その収入から300万円を初年度(1月〜12月)に支払っているという(受験費用・住居費・学費・仕送りなど)。親としてはぎりぎりだろう。平均借入金は150万円だ。

 一日1123円では食費すら賄えない。当然あとは奨学金などで借金し,アルバイトで稼ぐことが必要となる。本学は自宅通学生が比較的多いので,それほど厳しい状況ではないかもしれないが,昨年12月に実施した人間科学科目アンケートでは,科目選択の理由として「教科書の指定がなく,少ない費用で履修できるから」というものが上位にランクされた(体育実技以外では第3位)。これはかなり切実なことなのだろう。

参考:

 東大の博士学位取得者が,剽窃の発覚により,博士学位授与の取り消しを受けたという。全体の約4割に剽窃が見られたというが,それだけ大胆に剽窃をしたものが審査を通ってしまったことについて,説明が必要だと思う。再発防止をするというが,その際,今回の事態が起こってしまった原因追及をきちんとやって,それを公開することが大事だと思う。

参考:博士の学位授与の取消しについて(東京大学,2010.3.5)

【天気】晴れ。

 厚労大臣が,帰還兵からの聞き取り資料を8月をめどに公開すると言ったという。「省内には非常に貴重な資料が膨大にある」というが,厚労省(旧第一・第二復員省およびその後継組織の資料を受け継ぐ)は,やはり資料を持っていた。1950年代,つまり占領が終わった段階で厚生省(そこには復員省以来の旧軍関係者が勤めていた)は旧軍関係者からいろいろ情報を集めていたようだ。防衛研究所図書館で,化学戦部隊関係者が書いた手記を見たことがあるが,そこには「厚生省引揚援護局復員課」のゴム印が押されていた。厚労省資料には,その他の様々な部隊の記録も含まれていると思われる。厚労省資料が国立公文書館に移管されて公開されるとすれば,防衛研究所と並んで公文書館が旧軍関係資料の宝庫となると期待される。

参考:太平洋戦争戦死・不明兵:帰還兵聞き取りの情報公表へ(毎日新聞,2010.3.5)

追記:復員関係の資料は,ゆまに書房から出版されつつある(『復員関係史料集成』全12巻)。

【天気】雨。

 本日2/23,東京地裁で槌田敦氏が東大を名誉毀損で訴えた訴訟の第1回口頭弁論が開かれたようだ。東大が出した『地球温暖化懐疑論批判』という小冊子で,地球温暖化CO2原因説を批判する槌田氏らの名誉を毀損したという訴えだ。様々な面から興味深い。教材としても使えそうだ。

参考:環境問題を考える

 トヨタのリコール問題は,科学技術コミュニケーションや技術者倫理の授業の良い教材になりそうだ。昨日は,ビデオニュース・ドットコムで3名の専門家が自主的に行った記者会見のウェブ中継を行っていた。現在でも録画を見ることができる。

 その中で畑村氏が挙げていたリコール問題の参考書および報告書,他:

2/14追記
 ビデオニュース・ドットコムでは,引き続きトヨタ関連の番組を流している。廣瀬・鎌田両氏はともに元リコール検討会委員。

【天気】曇り。

 最近のテレビのニュースのビデオを見ていたら,2/3の報道ステーションで剽窃事件が報じられていた。報道ステーションでは,剽窃事件ではなく,むしろ天下り団体への無駄な委託研究費の問題として取り上げていたが,私は剽窃事件として非常に気になった。

 これまで得られた情報から私が理解したところによると,経緯は以下の通りである。

  • 水産庁が,「平成18年度資源管理体制・機能強化総合対策委託事業」の一環として,独立行政法人水産総合研究センターに調査を委託。同センターは,(社)日本水産資源保護協会に再委託し,同協会は東京海洋大学のL教授に研究を委託。同教授が指導していた院生のH氏が協力者となった。
  • 2006年9月,H氏は東京海洋大学大学院を修士論文「サンマ市場構造に関する研究」(A)を提出。
  • 2007年3月,水産総合研究センターが報告書『社会経済的情報の検討』を公表。その一部に「サンマ加工・流通の実態と業者認識及び対処方向の把握に関する調査報告書」(B)が含まれていた。
  • 東京海洋大学のL教授は,同大学のN准教授に論文の投稿を働きかけた。N准教授は,自らを筆頭著者とし,H氏と連名で北日本漁業経済学会の学会誌『北日本漁業』に「サンマの需給構造と市場の変化」と題する論文を投稿し,2009年3月に第37号に原著論文として掲載された。
  • 同論文は,(A)と(B)からの剽窃(出典を明記しないコピペ)があり,学会内外から「盗作」ではないかとの指摘が学会に寄せられた。
  • 学会は,2009年6月から対応に乗り出し,調査委員会を設け,調査を行った結果,同年11月,会長は当該論文の学会誌掲載取り消しを行った。また,学会員であるN氏とL氏に厳重注意を行った。さらに会長は,この件について会員等へ「通知」と「学会誌掲載論文の取消しに関する所懐」を郵送した。
  • 他方,2009年6月,東京海洋大学にも,N准教授の論文が(社)日本水産資源保護協会で作成された報告書に酷似しているとの通報があった。同大学は,同月,研究不正調査委員会を設置して調査を行い,同年9月,不適切な点が認められたとして,N准教授とL教授に厳重注意を行った。その後,別の観点から調査の必要性が生じたとして,現在調査を行っているという。
  • 2010年1月27日付で,N准教授とL教授は北日本漁業経済学会会長宛に「盗作の疑念」に関する質問書を送った。
  • 2010年1月30日,毎日新聞がこの剽窃事件を報じた。
  • 2010年2月1日,東京海洋大学は「本学准教授の論文に関する報道について」を公表した。
  • 2010年2月3日,テレビ朝日「報道ステーション」がこの剽窃事件と,その背後にある天下り団体の問題を報じた。
  • 2010年2月18日付で,北日本漁業経済学会会長はN准教授とL教授に対して回答書を送った。
  • 2010年4月19日付で,北日本漁業経済学会会長は東京海洋大学学長宛に「論文『盗作疑惑』に関する公開質問書」を送った。これは,同学会の調査結果と海洋大の見解(2/1付)が異なるため。5月14日に同学会調査委員会から海洋大学学長に電話で回答を求めたところ,「現在、東京海洋大学で調査中であるので回答は控えたい」「(調査が終われば回答してもらえるのかというこちらの質問に対して)回答するかどうかもわからない。また,こちらとしては回答する義務はない」と答えたという(出典)。
  • 2010年5月29日,漁業経済学会の総会で,同学会理事のN会員とL会員による理事辞任の申し出が承認された。この辞任申し出は,同学会代表理事の辞任勧告を受けてのもの(以上,漁業経済学会代表理事「総会における「組織運営上の諸問題と対処策」の審議について」による)。
  • 北日本漁業経済学会事務局に,2010年7月20日付のL, N両会員による訴状が送られた。9月9日に東京地裁で口頭弁論が行われるという(出典)。

 この剽窃事件では,実際の研究にほとんど関わっていないN准教授が筆頭著者になっていることが大きく問題になっている。これはこれで問題だが,私が気になった問題は,学会誌に原著論文(オリジナリティーを主張する論文)として掲載された文章に,別の報告書や論文からのコピペによる剽窃があったことだ。引用の形式をとっておらず,出典も明記していないというのだから,疑いのない剽窃である。たとえ,自分が関わった論文からのコピペであろうと,このことは変らない。北日本漁業経済学会の「通知」には,「現状では『盗作』との疑念を招く状況にある」と書かれているが,「当該論文は当該報告書と内容・表現ともにほぼ同じであるにも関わらず,当該報告書からの引用・出典を一切示していない」というのだから,剽窃以外の何物でもなく,疑念などないといってよい。

 毎日新聞によると,当事者のN准教授やL教授は次のように言っているという。「准教授は『センターや協会に事前連絡しなかったことは反省している』としながらも『調査や分析には自分もかかわっている』と反論。教授も『准教授が新たに書いた部分もある。連名は合意の上で,なぜ掲載が取り消されたのか分からない』と話す」。剽窃についての反省が全くない。

 北日本漁業経済学会や東京海洋大学の調査委員会でも,N准教授が実際に研究に関わり,筆頭著者としての資格があるかどうかを問題にしているが,それと剽窃とは直接には関係ない。海洋大が発表した文書には「同准教授が報告書に関与した形跡があること及び論文には報告書に記載されていない考察が含まれていることから,問題となっている論文の共著者となることを必ずしも否定するものではなく,盗用に当たるとの結論までには至りませんでした」とあるが,剽窃が何であるかを理解していないと言わざるをえない。引用の形式をとらず,出典を明記していなければ,たとえ元の報告書に関与し,報告書に記載されていない考察が含まれていようと,剽窃(盗用)であることは変らない。

 研究者ですら,剽窃が何であるかを良く理解していないことがよく分る事件だ。

参考

※2010/3/25,2010/5/25,2010/7/1, 2010/9/8情報を追加。

 2010/1/22,「水俣病不知火患者会」の会員2018人が国・熊本県・チッソに損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論で熊本地裁は和解を勧告し,同日第1回和解協議が始まった。国が和解協議に参加したのは初めてという。

 また1/22には,「水俣病東京の会」が関東在住の未認定患者がチッソや国に損害賠償を求めて2月に東京地裁に提訴することを明らかにしたという。これは,「ノーモア・ミナマタ被害者・弁護団全国連絡会議」が関わるもので,同様の訴訟は熊本・大阪・新潟地裁でも起こされている。これらも,最終的には和解に持ち込まれるのだろう。

 こうして,未認定患者は和解に参加し,水俣病問題の「最終解決」へと進んでいくのだろうか。

【天気】晴れ。

 2010/1/12,消費者庁の「消費者ホットライン」の運用が開始された。これは,全国共通の電話番号(0570-064-370)から近くの消費生活相談窓口を紹介するもの。土日祝日も国民生活センターなどで相談を受け付けるので,年末年始を除いて毎日相談を受けることができるという。これは,消費者庁による地方消費者行政支援の一環。

消費者ホットライン(消費者庁)

 国会は慌ただしく臓器移植法改正案を通そうとしているが,さらに今度は,多くの水俣病患者団体が反対している水俣病未認定患者救済法案(チッソ分社化法案)を通そうとしている。拙速は避けるべきだ。

7/6追記:7/3に衆院本会議で可決された。反対の声が次々と上がっている。いま妥協しないと生きているうちに救済されないかもしれないということで,患者に何度も苦渋の決断を受け入れさせてきた歴史が再度繰り返されようとしている。しかも,今回はチッソを分社化するということで,これを最後に二度と訴えられないようにしたいという1959年の見舞金契約を思い出させる。

7/9追記:昨日7/8,参議院でも可決され,法案は成立した。

 3月13日,国会に与党議員から「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の最終解決に関する特別措置法案」が提出されていることを知った。あまりマスコミでも大きくは報道されていなかったように思う。うかつにも見逃していた。

 内容は,水俣病問題を終わったことにするためのチッソ分社化と公健法地域指定解除を可能にするもの。3年と期限を切っているので,原因企業は3年後には水俣病問題からかなりの程度解放されることになる。逆に,救済を求めている患者は訴える相手と手段を失い,泣き寝入りを余儀なくされる。

 この法案に対しては,患者団体患者・支援者,また日弁連などが反対声明を出している。また,水俣病センター相思社の弘津さんは「『”緊急”共同声明』に賛同する理由」を公表している。

 “緊急”共同声明への賛同者が募集されている。第二次集約の締切は3月31日だという。なんとか間に合った。