剽窃

 コピペルナーはだいぶ前に入手していたが,Officeのバージョンが古かったため,使えないでいた。本日,Office 2010をインストールして,コピペルナーを試す。もう成績は付けてしまったものだが,前期のレポートの一部についてコピペルナーにかけてみた。1行程度コピペをしていたレポートを一つ見つけた。大幅なコピペは見つからなかった。しかし,キーワードを5つしか入れられないため,テーマが広い場合のレポートについては何度かキーワードを変えて試さなければならないだろう。提出されたレポート間のコピペがないか調べたが,これについてはなかった。

【天気】晴れ。

 早稲田大学商学部では,レポートで剽窃があった場合,退学または無期停学になるという。アメリカなどではそうした厳しい処分があると聞いていたが,日本での事例は初めて知った。

参考:レポートにおける不正行為とその処分について(早稲田大学商学部)

【天気】晴れ。

 東大の博士学位取得者が,剽窃の発覚により,博士学位授与の取り消しを受けたという。全体の約4割に剽窃が見られたというが,それだけ大胆に剽窃をしたものが審査を通ってしまったことについて,説明が必要だと思う。再発防止をするというが,その際,今回の事態が起こってしまった原因追及をきちんとやって,それを公開することが大事だと思う。

参考:博士の学位授与の取消しについて(東京大学,2010.3.5)

【天気】晴れ。

 今日は,成績表配布の日。学生を待っている間はまとまった仕事ができないので,研究室にある文庫本をシリーズ毎に整理した。同じデザインの背表紙が並んだのを見るのは気持ちよい。今度は,新書を整理したくなった。

 成績について質問しに学生が来た。成績資料を揃えておいたので,すぐに対応することができた。誰も来ない学期もあるので,来てくれると準備した甲斐がある。レポートにウィキペディアからのコピペがあったので,レポートが0点になったことを説明した。合せて,どうすれば剽窃にならないかも簡単に説明した。

 コピペルナーが届いた。インストールしてみて,使い方はだいたいわかったが,実際に大量の学生のレポートをこれで判定してみないと使い勝手や有効性などは分らないと思う。来学期に試してみたい。

 最近のテレビのニュースのビデオを見ていたら,2/3の報道ステーションで剽窃事件が報じられていた。報道ステーションでは,剽窃事件ではなく,むしろ天下り団体への無駄な委託研究費の問題として取り上げていたが,私は剽窃事件として非常に気になった。

 これまで得られた情報から私が理解したところによると,経緯は以下の通りである。

  • 水産庁が,「平成18年度資源管理体制・機能強化総合対策委託事業」の一環として,独立行政法人水産総合研究センターに調査を委託。同センターは,(社)日本水産資源保護協会に再委託し,同協会は東京海洋大学のL教授に研究を委託。同教授が指導していた院生のH氏が協力者となった。
  • 2006年9月,H氏は東京海洋大学大学院を修士論文「サンマ市場構造に関する研究」(A)を提出。
  • 2007年3月,水産総合研究センターが報告書『社会経済的情報の検討』を公表。その一部に「サンマ加工・流通の実態と業者認識及び対処方向の把握に関する調査報告書」(B)が含まれていた。
  • 東京海洋大学のL教授は,同大学のN准教授に論文の投稿を働きかけた。N准教授は,自らを筆頭著者とし,H氏と連名で北日本漁業経済学会の学会誌『北日本漁業』に「サンマの需給構造と市場の変化」と題する論文を投稿し,2009年3月に第37号に原著論文として掲載された。
  • 同論文は,(A)と(B)からの剽窃(出典を明記しないコピペ)があり,学会内外から「盗作」ではないかとの指摘が学会に寄せられた。
  • 学会は,2009年6月から対応に乗り出し,調査委員会を設け,調査を行った結果,同年11月,会長は当該論文の学会誌掲載取り消しを行った。また,学会員であるN氏とL氏に厳重注意を行った。さらに会長は,この件について会員等へ「通知」と「学会誌掲載論文の取消しに関する所懐」を郵送した。
  • 他方,2009年6月,東京海洋大学にも,N准教授の論文が(社)日本水産資源保護協会で作成された報告書に酷似しているとの通報があった。同大学は,同月,研究不正調査委員会を設置して調査を行い,同年9月,不適切な点が認められたとして,N准教授とL教授に厳重注意を行った。その後,別の観点から調査の必要性が生じたとして,現在調査を行っているという。
  • 2010年1月27日付で,N准教授とL教授は北日本漁業経済学会会長宛に「盗作の疑念」に関する質問書を送った。
  • 2010年1月30日,毎日新聞がこの剽窃事件を報じた。
  • 2010年2月1日,東京海洋大学は「本学准教授の論文に関する報道について」を公表した。
  • 2010年2月3日,テレビ朝日「報道ステーション」がこの剽窃事件と,その背後にある天下り団体の問題を報じた。
  • 2010年2月18日付で,北日本漁業経済学会会長はN准教授とL教授に対して回答書を送った。
  • 2010年4月19日付で,北日本漁業経済学会会長は東京海洋大学学長宛に「論文『盗作疑惑』に関する公開質問書」を送った。これは,同学会の調査結果と海洋大の見解(2/1付)が異なるため。5月14日に同学会調査委員会から海洋大学学長に電話で回答を求めたところ,「現在、東京海洋大学で調査中であるので回答は控えたい」「(調査が終われば回答してもらえるのかというこちらの質問に対して)回答するかどうかもわからない。また,こちらとしては回答する義務はない」と答えたという(出典)。
  • 2010年5月29日,漁業経済学会の総会で,同学会理事のN会員とL会員による理事辞任の申し出が承認された。この辞任申し出は,同学会代表理事の辞任勧告を受けてのもの(以上,漁業経済学会代表理事「総会における「組織運営上の諸問題と対処策」の審議について」による)。
  • 北日本漁業経済学会事務局に,2010年7月20日付のL, N両会員による訴状が送られた。9月9日に東京地裁で口頭弁論が行われるという(出典)。

 この剽窃事件では,実際の研究にほとんど関わっていないN准教授が筆頭著者になっていることが大きく問題になっている。これはこれで問題だが,私が気になった問題は,学会誌に原著論文(オリジナリティーを主張する論文)として掲載された文章に,別の報告書や論文からのコピペによる剽窃があったことだ。引用の形式をとっておらず,出典も明記していないというのだから,疑いのない剽窃である。たとえ,自分が関わった論文からのコピペであろうと,このことは変らない(補足説明)。北日本漁業経済学会の「通知」には,「現状では『盗作』との疑念を招く状況にある」と書かれているが,「当該論文は当該報告書と内容・表現ともにほぼ同じであるにも関わらず,当該報告書からの引用・出典を一切示していない」というのだから,剽窃以外の何物でもなく,疑念などないといってよい。

 毎日新聞によると,当事者のN准教授やL教授は次のように言っているという。「准教授は『センターや協会に事前連絡しなかったことは反省している』としながらも『調査や分析には自分もかかわっている』と反論。教授も『准教授が新たに書いた部分もある。連名は合意の上で,なぜ掲載が取り消されたのか分からない』と話す」。剽窃についての反省が全くない。

 北日本漁業経済学会や東京海洋大学の調査委員会でも,N准教授が実際に研究に関わり,筆頭著者としての資格があるかどうかを問題にしているが,それと剽窃とは直接には関係ない。海洋大が発表した文書には「同准教授が報告書に関与した形跡があること及び論文には報告書に記載されていない考察が含まれていることから,問題となっている論文の共著者となることを必ずしも否定するものではなく,盗用に当たるとの結論までには至りませんでした」とあるが,剽窃が何であるかを理解していないと言わざるをえない。引用の形式をとらず,出典を明記していなければ,たとえ元の報告書に関与し,報告書に記載されていない考察が含まれていようと,剽窃(盗用)であることは変らない(補足説明)。

 研究者ですら,剽窃が何であるかを良く理解していないことがよく分る事件だ。

補足説明(2010/9/9)

 自分が書いた文章を再利用する場合,それを「剽窃」というのは厳密に言うとおかしい。というのも,剽窃とは盗むことであり,通常,「自分のものを盗む」とは言わないからである。したがって,「不適切な再利用」とでも言った方がいいのだが,オリジナリティが厳しく問われる学問の世界では,自分の書いたものでも,新しく書いたものは前に書いたものと比べてどこが新しいかをきちんと明らかにする必要があり,過去の論文としては他人の論文でも自分の論文でも取り扱いに変わりはない。そこで,簡単のために自分の論文の再利用も剽窃のたぐいということで一緒にした。なお,オリジナリティがそれほど問われない種類の文章では,いま述べたことは必ずしも当てはまらない。

参 考

※2010/3/25,2010/5/25,2010/7/1, 2010/9/8, 2010/9/9加筆。

 2/2に剽窃に関するシンポジウムに参加してから,もらった資料を読み返し,聞いた話を思い返しながら,剽窃問題について考えている。

 インターネットの発達により,学生が簡単にネットからコピペしてレポートを作れるようになった。これまでのようにレポート課題を出すと,ぞろぞろとコピペ・レポートが出てくることになる。こちらも,ネットで検索するとある程度はソースを発見することができ,非常に不愉快になりながら減点をすることになる。その不愉快さと時間・労力はばかにならない。こうして剽窃が問題化されてきた。

 まず,コピペ・レポートを発見する手間が問題だ。時間と労力をかければそれなりにできるが,こうした「後ろ向きな作業」はできるだけ省力化したい。そこで,コピペルナーの誕生となった。外国では,Turnitinなど同様なサービスがかなり前から存在するという。

 さて,これからはレポートをコピペルナーにかけて剽窃を発見し,減点したり,処分したりしていけば,剽窃はなくなっていくのだろうか。外国の経験からすると,それは無理のようだ。最近は,剽窃を防ぐ効果は,罰則よりも教育のほうが強いという議論もある。先のシンポでは,これからは日本でも外国のように剽窃について厳しく対応していこう,という雰囲気が強かったが,それだけでは失敗が約束されていると考えるべきだろう。もちろん,シンポでは処罰と並んで教育の重要性が繰り返し強調されていたが。

 さて,ではどう教育すべきか。価値と技術の両方を教えなければならない。まず,大学(広く学問の世界)では,何を大事にしているのかということを知ってもらい,その価値観を共有してもらわなければならない。そしてまた,その価値を実現するための技術(具体的には,引用・言い換え・典拠表示)を身につけてもらわなければならない。

 大学全体で取り組むべきこともあるし,個々の教員が授業で取り組むべきこともあるだろう。

 大学全体としては,学生が守るべき倫理規定の中に剽窃の禁止を明記する,剽窃に対する処罰規定を定める,すべての新入生に剽窃を避けるための教育を施す,などがある。

 私としては,シラバスで剽窃に対する私のポリシーを明示するとともに,レポート課題を出すときには,レポートが満たすべき要件をできるだけ詳しく示していきたい。また,剽窃とは何か,それを避けるにはどうすればよいかを理解するための自習用教材を用意することも考えたい。その上で,コピペルナーを活用し,剽窃には厳しく対応していきたい。

参考:

【天気】晴れ。

 一橋大学のFDシンポジウム「レポート剽窃問題を考える」に参加。学内者がメインのシンポだったと思うが,学外者も多かったように思う。

 剽窃レポート対策は三つ。レポートの書き方を指導する。剽窃レポートを発見する(コピペルナーなどが有用)。剽窃を不正行為として対応する。三つ目は個人では限界があるが,他の二つは個人でもある程度できる。レポートの書き方には,レポート課題の出し方も含まれる。漠然とした課題はダメ。条件をいろいろ付ける。フィードバックが大事。コピペルナーで剽窃発見の省力化がなされるのはうれしいが,レポート指導はなかなか省力化できない。また,時間もかかる。個人でできることとしては,自習教材を作成し,活用させることくらいか。

 東大教養学部では,理科生向け英語のAcademic Writingの中で,また文科生には基礎演習で,剽窃問題について扱っているという。前者では「自分の言葉?他人の言葉?」「知識のうらづけ/情報のみなもと」というパンフレットが,後者では『知の技法』が教材として使われているそうだ。

関連リンク:

【天気】曇り時々晴れ。昨夜は久しぶりの雪。

 時間がかかっていたレポートの採点が終わった。100名中15名が剽窃(コピペ)レポート。その多くはフレッシュマンセミナーを受けていると思うのだが。また,フレッシュマンセミナーで学んだはずのレポートの書き方,特に形式的なことがほとんどのレポートで十分には考慮されていない。何とかしなければならない。

 2/2に一橋大学で全学FDシンポジウム「レポート剽窃問題を考える」が開催されるという。コピペルナーの考案者も講演するということで非常に興味深い。

【天気】晴れ。

 前から注目していたコピペレポートを発見ソフトが発売されたという。コピペルナーというその名前は,「コピペる(コピー・アンド・ペーストする)」という動詞の否定命令形「コピペるな」から来ているのだろう。教員からのメッセージでもある。

 剽窃レポートの発見に威力を発揮してくれるのではないか。

【天気】晴れ。

 今度のセンター試験監督説明会。今回は,センターからのリスニング試験説明ビデオを見た。分かりやすいが,複雑であることは変らず,負担の多い試験だ。

 授業が終わった科目の成績評価も。レポートで剽窃がなくならない。これで単位を落とす学生が少なくない。しかし,以前に比べると減ったと言えるだろうか。

 授業評価アンケートに,パソコンでゲームをやっている学生がいて,マウスのクリック音がうるさかったので注意して欲しかったと書かれていた。毎回の授業でコメントを書いてもらっていたのに,なぜもっと早く書かなかったのか。とはいえ,授業中にパソコンでゲームをやっている学生を発見するのはなかなか難しい。迷惑だと思った学生が自分で注意するのが一番早いのだが。

【天気】晴れ。

 レポートにおける剽窃行為に対して私は厳しく対応しているが,試験における不正行為(カンニング)と同様の対応をしている大学が日本にもあることを知った。早稲田大学である。

 ちなみに,早稲田では,今年度から「アカデミックリテラシー」という科目を開講しているそうだ。教科書も市販されている。ウェブ版もある。

【天気】雨。

 先に採点した3年生の科目では約3割のレポートにウェブページからのコピペ(剽窃)が見られたが、別の2年生の科目でも、約3割のレポートにウェブからの剽窃が発見された。

 これらの学生の多くは、1年次にフレッシュマンセミナーを受講しており、そこでは剽窃をしてはいけないことがきちんと教えられたはずである。2年生の剽窃者のなかに私のフレッシュマンセミナー受講者がいなかったのは、せめてもの救いだ。

 今後は、それぞれの授業において、レポートを課すときに剽窃をしないようしつこく指導せねばなるまい。

【天気】晴れ。

 最終的には33名中9名のコピペを見つけた。予想外の多さだった。中には,ウィキペディアからかなりの部分をそのまま貼り付けているものもあった。また,貼り付けている部分の文字の色が異なり,コピペが一目瞭然のものもあった。

【天気】雨。東京などでは初雪とのこと。

フレッシュマンセミナーの実質的な授業は今日で終わった。剽窃と引用がメインのテーマ。どれだけ伝わっただろうか。

【天気】曇り。

3回のレポートで3回とも剽窃をしている学生がいた。何度も注意し,警告を発していたにも関わらず。残念でしかたがない。

次回のフレッシュマンセミナーはこのテーマを扱う。1年生の時からしっかりと肝に銘じて欲しいと思う。

 今学期も,授業が終わりかけた時点で今学期の反省をする。

全体的に

 本学に赴任して4年目に入り、授業が新しいステージに上がったように思う。先学期から授業内レポートなど新しい試みを始めたが、それが少し成果を上げはじめたようだ。学生の反応も思ったより良い。

授業内レポート方式について

 先学期に引き続き,授業内レポート方式をいくつかの科目(「技術者倫理」と「科学の社会史」)で採用した。

 技術者倫理では,前学期同様,毎回レポートを書いてもらった。このやり方で特に問題はなく,前回同様回を重ねる毎にレポートは良くなっていった。

 科学の社会史では,毎回ではなく,講義3回に1回程度(合計3回)の授業内レポートを書いてもらった。これは,一つには受講者が多いため毎回では次の回に返却できないこと,また現在の講義の内容を教えるには毎回30分程度の講義では足りないこと,さらに各回の感想も知りたいし,受講者間で共有したいということもあったためである。

 この変更は悪くなかった。授業内レポート方式は,授業の最後にレポートを提出しなければならないという緊張感が重要なのだが,当初はそれがなくなることを心配していた。しかし,最初の頃こそ受講態度に問題がある受講者が見られたものの,次第に受講態度はよくなっていった。

 なお,回数を減らしたにもかかわらず,次の回に返却するということは,第1回と第2回では実現できなかった。他の授業の準備や学会関係の作業が立て込んでいたためである。全ての授業が軌道に乗ってくれば,次の回に返却することも不可能ではないだろう。

授業サイトについて

 先学期までMoodleを用いて授業サイトを構築していたが,今学期はまたMovableTypeに戻してシンプルな授業サイトを作った。非公開の授業資料(スライドなど)はパスワード保護をかけた。ログインなどの面倒な手続を要せず簡単に授業サイトを見ることができることは良かったと思うが,受講者にどれだけ活用されたかは授業評価アンケートの結果を見なければ分からない。

 途中からシステムをMovableTypeからWordPressに変更したが,デザインやコンテンツはそのまま継承している。WordPressはオープンソースで無料であり,また使い勝手もよいので,このまま続けて使っていきたい。

講義について

 授業方法は,基本的にパワーポイントを見せながら解説するという形をとった。途中,ビデオを見せることもあった。あまり講義が長く続かないよう配慮したつもりである。

「科学技術コミュニケーション」の内容について

 これは,今学期初めて実施した講義であり,内容を一から作っていった。技術者をめざす本学の学生向けに,一般的に行われている科学技術コミュニケーション関係の教育とは異なる内容にした。

 すなわち,第1部では非専門家に分かりやすく説明する方法をマニュアル制作を例に扱い,第2部では人々の不安に応える方法をリスクコミュニケーションを例に扱った。前者ではデジカメのマニュアルを評価する演習,後者では牛丼チェーンのBSEリスクに関するウェブページを評価する演習を取り入れ,また,班活動とクラス発表も行い,できるだけ実践的な内容にするよう心掛けた。最後の2回は第3部として,サイエンスカフェなど最近の話題を紹介した。

 初めての授業としては,まあまあの出来だったのではないかと思っている。特にBSEと牛丼チェーンを取り上げたのは良かったと思う。リスクコミュニケーションの素材として面白かった。

「フレッシュマンセミナー」の内容について

 教科書は昨年までとほとんど同じ内容なのだが,授業の方はかなり独自色を出して実施した。昨年度と異なるところは,まず昨年度軽くしか扱わなかったアサーショントレーニングを1回の時間を取ってしっかり実施したこと。また,後半のレポートの書き方に関する進め方を教科書とはほぼ逆に進めたこと(文の書き方から初めて,最後にレポートの構成法に至るのではなく,先にレポートの構成の話をして,それから段々と細部に至るように)。この方法が良かったのかどうかも,学生の最終レポートと授業評価から判断したい。

「科学の社会史」の内容について

 科学の社会史の内容は,昨年度までの「科学技術史A」とほとんど同じで,古代から現代までの科学の社会的側面の歴史を通史的に扱った。授業内レポート(「まとめのレポート」と呼んだ)が3回入る分,講義時間が減るのでその分の内容を減らした。また,後期の「技術の社会史」と重複するような内容も簡略化したが,話のつながり上必要なので全く省略することはしなかった。

 今学期は,一部のクラスで14回の授業回数が確保できた。同一科目で教える内容が異なることは不公平になるので,14回目は「おまけ」としてビデオを見せることにした。それまでの授業では短く編集したものしか見せられなかったが,このおまけの授業では学生の希望を聞いた上で,授業に関係のあるビデオを丸々見せることができた。このような授業もいいなと思った。できれば全ての授業で最後の回はこのようなものにしてもいいかもしれない。

「技術者倫理」の内容について

 前学期とほとんど同じである。そろそろアップデートが必要かも知れない。

成績評価について

 今学期も,定期試験は実施せず,授業内レポートなどレポートでの評価をメインにしている。一発勝負の定期試験とは異なり,何回も提出されるレポートは回を重ねる毎に良くなっていくので,調整をせずともそれなりに良い成績が出るものと期待できる。ただ,剽窃に対しては厳しく対応しているので,それによる平均点の低下はあるかもしれない。

 <技術者倫理> SとAの割合が41%とかなり高く,Dは6%と低かった(データ)。受講者が17名と少なく,また社会人学生が多かったとはいえ,これまでにない好成績となった。受講者によるこの授業の評価も比較的良かった。授業内レポート方式の成果と言えよう。(7/10追記)

 <科学技術コミュニケーション> こちらもSとAの割合が37%と高かった(データ)。今回は,授業にちゃんと参加していたかどうかで成績が上下するような評価法なので,全体に高めの結果となった。理解の度合いなどもきちんと評価できるような評価法を考える必要があるだろう。簡単な試験をするのがよいかもしれない。(7/11追記)

 <科学の社会史(科学技術史A)> こちらもSA割合が38%と高かった(データ)。実は,これは調整した結果で,素点では更に高い値だったのだが,若干下方修正した。このようなことは初めてだ。(7/16追記)

【天気】晴れ。

 溜まっていたレポートの採点を終える。二回目だが、剽窃レポートがなくならない。二度とも剽窃の者もいる。三度目には皆無となることを祈るのみ。(三度目に剽窃したら、単位は出ないとはっきり言ってある。)

【天気】曇り。大学に来たら科学基礎論学会年会をやっていたので驚いた。

 今日もレポート読み。剽窃を確認する分だけ時間が余計にかかる。ただ,教科書とウィキペディアからのものがほとんどなので比較的楽だ。
 2年生でもこれほどあっけらかんと剽窃をするということは,これまでそれが許されてきたからだろう。フレッシュマンセミナーは受けていたのだろうか?

【天気】晴れ。今日はオープンキャンパスの日だった。

 レポート読みに追われている。ウェブサイト(多くがウィキペディア)からの,あるいは教科書からの剽窃が少なくない。本人は全く悪いと思っていない様子だ。

【天気】雨。

 後期の成績通知書配布の日。私が学生アドバイザーになっている学生20名余りの成績表を手渡す。
 この頃から成績に関する問い合わせもあるので、すぐに説明できるよう成績関係資料を整理した。今学期はレポートにおける剽窃がかなり多かったので、その証拠(ウェブページ)もプリントアウトして、すぐに示せるようにした。面倒な作業だ。

【天気】晴れ。暖かい。

 一日採点。要領が分かってきてどんどん進む。明日には終わるだろう。
 相変わらず剽窃が多い。パターンが分かってきたので,そのパターンのものはすぐに見つかる。しかし,気が付かないものもあるかも知れない。内容よりそちらが気になって素直に読めないのは悲しいことだ。

【天気】曇り。雪は降らなかった。

 この数日はレポートの採点にかかりきりだ。ウェブページからの剽窃がいくつか見つかった。中には,ウェブから剽窃したところに注を付け,全く関係ない本を注に挙げているものもあった。これは剽窃していることを隠すための偽装か。当然,そうした剽窃レポートは零点である。レポートを読むことより,剽窃がないかウェブ検索で確認する方が時間がかかり,非常に疲れる。真剣に剽窃発見ソフトが欲しくなる。
 提出期限を遅れてレポートを出しに来る学生も一人や二人ではない。
 来年度は,「剽窃したら単位没収」「期限を過ぎたレポートはいかなる理由があっても受け取らない」ことをシラバスに明記して,厳しく対応したいと思う。

追記1/21
 「レポートボックスの入れ間違いも,提出遅れと同じ扱い,つまり受け取らない」ということを徹底したいと思う。入れ間違いが多すぎる(もしかすると意図的にそうしている可能性がある。というのも,提出期限が最も遅いクラスのボックスに他クラスのレポートが最も多いのだ)。

【天気】晴れ。朝,雪が積もっていた。

 今学期も,授業が終わりかけた時点で今学期の反省をする。

授業内レポート方式について
 今学期の授業の最大の変更点は,「授業内レポート方式」を採用したことである。これは,宇田光氏により「BRD(Brief Report of the Day)方式」として提唱された授業法(Kさんによる紹介)だが,かなり基本に忠実にこれを実施した。具体的な授業の進め方は以下の通りである。
 まず,前回の授業内レポートを返却する。名前を呼んで取りに来てもらうが,90名のクラスだと15分はかかる。その後,講評を行う。最初の頃は,よく書けているレポートをOHC(オーバーヘッドカメラ)で見せて紹介した。どのようにレポートを書けばいいか分からない学生も少なくないからだ。また,授業サイトにも数篇のレポートを参考例として掲示した。これらはみな匿名の形で行った。
 次に,その日のレポート課題を提示する。多少の説明はするが,せいぜい5分程度。そして,5〜10分程度,構想を練る時間を与える。この時に,学生は教科書・参考書やその時間に配布した参考資料のプリントを読む。これは授業内に行う予習の意味もある。
 そして,いよいよ私の講義が始まる。パワーポイントを使って,密度の濃い講義を30〜45分程度行う。内容はそれまで90分の講義でやっていたことを少し減らした程度で,大事なことは伝えているつもりである。また,その講義の中で10分程度のビデオを見せることもある。そうすると,講義時間はますます少なくなる。
 そして,最後に授業終了のチャイムが鳴るまで,多くの場合30分前後の時間がとれるが,授業内レポートを執筆してもらう(レポート用紙)。早く書き終わった人から提出して退室してよいことにしているが,大半の受講者は授業終了まで書いていた。
 授業が終わった後は,そのレポートを読み,S, A, B, C, 要修正の評価を付け,添削し,コメントを添える。大半のレポートはS, A, B, Cなどを付けるだけだが,1枚に平均2分程度はかかる。90枚だと3時間以上かかる。
 このようなやり方を毎回続けた(技術者倫理は全11回,技術の社会史は全10回)。かなり大変だったが,学生の理解を把握するのに役立ったし,誤解しやすいポイントもよく分かった。また,学生の文章力も次第に上達したように思う。最終的な成績評価と学生の授業評価を見ないと判断できないが,かなり有効な授業法だったように感じている。

授業サイトについて
 今学期もMoodleを使って授業サイトを構築した。先学期と違い,レポートの提出は紙ベースで行ったので,授業サイトはもっぱら授業に関する参考情報の提供となった。そのため,アクセスはおろか,登録すらしない学生が多数(履修者の約半数)存在した。先に書いたとおり参考レポートも載っているので,あまり良いレポートを書いていない学生には見て欲しかったが,いくら呼びかけても見てくれない学生もいる。授業で,なぜ見ないのか聞いたが,技術的な問題などはなさそうだった。
 授業サイトについても,授業アンケートで聞くので,その結果を待ちたい。

板書・講義について
 先学期は,あえてパワーポイントの使用を控えて,板書中心の授業を行ったが,学生は自分なりに要点をまとめる力が弱く,そのため理解度が下がったように感じられたので,今学期はまたパワーポイント中心の講義に戻した。講義時間が以前の半分以下になったこともあり,これは有効だったと思う。講義のあとレポートを書かなければならないので,講義を聴く態度が全体的に良かったように思う。私語もほとんどなかった。講義中だけでなく,授業全体で私語は比較的少なかった。90名と比較的大人数のクラスでもそうだった。授業内レポート方式の一つの利点だと思う。

「技術の社会史」の内容について
 この科目は今学期が初めてのものだが,旧カリの「科学技術史B」と対応している。しかし,昨年度の同科目とは全く違う内容のものであった。昨年度は,廣重徹『科学の社会史』を教科書として,日本の近現代科学史を取り扱った。しかし今学期は,エンジニアの社会史(教育制度史)を扱った。参考書に村上陽一郎『工学の歴史と技術の倫理』を指定し,最初はこれに沿うかたちで講義をしようかと思ったが,結局自分なりの内容を考えることにした。これは良かったように思う。教科書がなかったため,レポートの参考資料として毎回A4裏表の資料を配付したが,これもちょうど良い分量だったのではないか。学生へのアンケートで確かめたい。

「技術者倫理」の内容について
 これは,内容的には前学期とほぼ同じ内容を扱ったが,前学期とその前の学期に扱ったロボット技術の倫理問題については,今学期は扱わなかった。授業内レポート方式をとったため各回に扱える内容が減ったためでもあるが,また,ロボット倫理については別の授業で扱いたいという考えもあってのことだ。分量を減らしてちょうど良かったと思う。

成績評価について
 今回は,授業内レポートと宿題レポートのみで成績を付けることにしたので,定期試験は実施しない。授業内レポートは,これまで提出してもらい,返却してきたものをもう一度まとめて出してもらう。「要修正」の評価のレポートは修正版も出してもらう。宿題レポートは,冬休みに取り組んでもらうということで出している。これらをまとめて綴じて,講義最終日の翌週に提出してもらうことになっている。採点表を事務に出すまでの時間が少ないのだが,授業内レポートについてはすでに評価をしているので,レポートの採点と成績評価は比較的楽になるのではないかと期待している。これはやってみないと分からない。
 毎回きちんと出席して授業内レポートを出し,宿題レポートもそこそこできれいれば容易に単位は取れると思う。欠席が多いと,レポートの出来不出来により単位を取れないこともあるだろう。しかし,これまでの私の授業よりは平均点がよくなると期待している。今学期から成績評価ガイドラインが導入されるのだが,調整なしでクリアできてほしいものだ。

2008/1/22追記
 成績評価の結果は,予想通り,例年よりも良くなった。しかし,宿題レポートの出来はあまり良くなかった。時間をかけてじっくり取り組むことを期待するのは難しいのかもしれない。剽窃も多数見つかった。
 今回,レポートのみで評価をしたが,採点の手間は試験の場合とそれほど変わらなかった。

2008/2/18追記
 学生による授業評価アンケートの結果は次の通り。
 ・大学で決められた質問項目について
 ・授業内レポート方式について

【天気】晴れ。

 ウェブページの切り貼りレポートが絶えない。課題の注意書きにはっきり明記してもやってしまうというのはどういうことか。おそらく全く無意識にやっているのだろう。自分のやっていることがまさかいけないことだとは考えもしないのだろう。
 フレッシュマンセミナーではそのへんのことをたたき込んだ(つもりである)。最終レポートが楽しみだ。

 フレッシュマンセミナー最終レポートの採点が終わった。
 授業では、剽窃を行わないようかなり厳しく指導したにもかかわらず、あるウェブページを切り貼りしただけのレポートが出てきてしまった。
 さらにショックだったのは、そのレポートを出したのが、この授業の内容は低レベルすぎると苦情を言っていた学生だったことだ。この授業でやったようなことはすでに身につけている新入生もいるのかと、少しうれしく感じてもいたのだが、そうではないということが判明してしまった。その学生は、剽窃とならないレポートの書き方について扱った授業を欠席していた。彼にとっても学ぶ価値のあることがこの授業には含まれていたということが明らかになった。

【天気】晴れのち曇り。

 フレッシュマンセミナーでレポートを返却。二人でレポートを作成した学生2組、計4名については、文章が同じ部分は「剽窃」と見なし、その部分を零点とする。提出が1日遅れた学生は採点せずに零点(本来受け取らないのだが、レポートボックスに入れてあった)。結果が数字で表現されると、それなりに身にしみたのではないかと思う。次第に学生の間で差が出てきている。

【天気】曇りのち雨。